山中城は、山の起伏を利用した戦国時代の典型的な山城。愛知県内では最大級の遺構で岡崎市指定文化財(史跡)となっている。この地は、「鎌倉街道(東海道と吉良道)」に接する重要な場所だった。西郷信貞はここに城を築き、安城松平家に対抗しようとしていた。しかし、清康(家康の祖父)に夜襲をかけられ落城。清康が亡くなると、山中城は今川軍の重要拠点となり、桶狭間の戦いで今川義元が討たれると再び松平家のものとなった。今回は歴史に想いを馳せながら山中城址遊歩道を巡った。



1. 山中八幡宮



山中城址遊歩道に入る前に、近くにある山中八幡宮に立ち寄った。家康の父・広忠が再興したと言われ、家康初陣の際に必勝祈願した神社。毎年1月には、室町時代から続くといわれる御田植神事「デンデンガッサリ」が開催される。


2. 鳩ヶ窟


山中八幡宮の近くには、三河一向一揆の際に追われた家康が身を隠して命拾いをしたと伝えられている洞窟「鳩ヶ窟」がある。


3. 大手口(舞木口)



田んぼの中を走っていくと大手口が見えてきた。頂上の山中城址までは1km弱、高低差約100m、遊歩道は綺麗に整備されているのでハイキング初心者でも大丈夫だろう。小鳥のさえずりが心地いい。


4. 東曲輪



曲輪とは、軍事的な意図をもって削平、盛り土された平面空間で、戦国以降の城郭では複数の曲輪が意図的に配置されていた。山中城では複数現存する。


5. 本丸



三の丸を通り抜けるとその上に本丸と二の丸がある。本丸の広さは、東西約40m、最大幅約18mで、その中央に山中城址の石碑がある。ここからの眺めは絶景で、眼下には鎌倉街道(吉良道)が見渡せる。


6. 二の丸


本丸と続くように二の丸がある。広さは北西約45m、最大幅約20m。二の丸には小さな社があった。本丸、二の丸あたりは木陰になっていてとても心地よかった。


7. 羽栗口



下山は、登ってきた道をもどらずに羽栗口を目指した。この遊歩道は、平成28年から山中学区総出で計画的に環境整備が行われてきた。遺構を壊さないよう配慮しながら草刈りや雑木の伐採を行い、城道を整備して入口に平面図を掲示。平成29年には山中城址保存会発足。平成30年には枝垂れ桜の植樹を行うと共に県道生平幸田線から望めるよう「山中城」の大看板が本丸に設置された。


取材場所
岡崎市 Google Map