1400段の石段を歩けば蘇る 1300年の歴史と文化
開山1300年といわれる鳳来寺山は、古くから山そのものが信仰の対象となり、修験者の聖地、真言・天台の密教の道場として栄えてきた。「ブッポウソー」と鳴く仏法僧(コノハズク)が初夏に到来することでも知られている。今回は、苔むした石段が続く表参道を登り、鳳来寺、東照宮を目指した。木々に包まれた表参道にはさまざまな歴史遺産や句碑などが数多く点在し、野鳥や小動物なども多く生息している。ゆっくり登って約2時間、1300年の歴史と文化を感じながらチャレンジしてみてはいかがだろうか。麓には湯谷温泉がある。
❶ネズの木(県指定文化財)
表参道を登っていくと左手に樹齢1300年のネズの木が見えてくる。大鳥居が建っていたといわれるこのネズの木辺りから谷間にかけて、戦国の世に門谷合戦と呼ばれる戦があった。
❷自然休養村かさすぎ
特産物を直売する「かさすぎ」では、食事や喫茶メニューが充実しており、鳳来寺山ならではのしいたけ定食や田楽定食が(どちらも1,340円)人気。6月からは天然あゆ定食(2,700円)も楽しめる。
❸鳳来寺山自然科学博物館
少し歩くと左手奥に自然科学博物館が見えてくる。鳳来寺山の成り立ちや、この地区に生息する生物や植物、化石・鉱石などがわかりやすく展示されている。❸
❹鳳来寺硯
鳳来寺山近辺は、金鳳石・鳳鳴石・煙巌石などの産地で、現在も2軒のすずり屋がある。
❺石段(1425段)
すずり屋を通過すると石段が見えてくる。鳳来寺山本堂、東照宮へと続く石段の長さは九町、俗に1425段といわれている。一町ごとに町目石があり、源頼朝の寄進と伝えられ、昔と変わらぬ姿を今に見せる。登っていくと両側に天台・真言両宗の院坊跡が点在する。
❻仁王門(国指定重要文化財)
徳川三代将軍家光が寄進した仁王門には堂々とした仁王像がこちらを睨みつけている。正面の額「鳳来寺」の文字は、光明皇后御染筆と伝えられている。松尾芭蕉は元禄四年(1691年)ここまで登ったが持病のため一行は止む無く下山したという。
❼傘杉(樹高日本一・新日本銘木百選)
仁王門をくぐり、橋を渡ると真っ直ぐに立ち上がった巨大な傘杉が目の前に現れる。推定樹齢800年、樹高60m、目通り7.5m。杉としては樹高日本一を誇り、幹の上方で枝が四方に広がり、傘をさしたように見えることから傘杉と呼ばれている。その昔、樵が斧を入れたところ、切り口より血が吹き出し、切るのを断念したという伝説がある。
❽鳳来寺本堂
石段を登りきると鳳来寺本堂がある。大宝3年(703年)、利修仙人によって開かれた真言宗の古刹。薬師信仰と山岳修験道の霊山として古くから信仰を集め、江戸時代には徳川家康誕生のゆかりの地として、幕府の厚い保護を受けていた。昭和49年再建。
❾鳳来山東照宮(国指定重要文化財)
日光・久能山とともに日本三大東照宮のひとつ。祭神は徳川家康。慶安4年(1651年)三代将軍家光の指示で創建され、四代将軍家綱のときに完成された。平成15年修復実施。
※この記事は2014年07月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。