千三百年に渡る悠久の時の流れ
天下の奇祭「鬼祭り」の舞台となる瀧山寺は、およそ600年代(奈良時代)に創建された古刹で、山号を「吉祥陀羅尼山」、院号を「薬樹王院」といい、天台宗の寺院として建てられた。瀧山東照宮が隣接しており見所満載。歴史に浪漫を馳せながら境内を巡った。
1. 瀧山寺三門(仁王門)
瀧山寺の手前約800メートルに、朱塗りが美しい国指定重要文化財「瀧山寺三門」がある。文永4年(1267)、飛騨権守藤原光延(飛騨の内匠)が建立したもので、三間一戸の壮大な楼門である。門の両側に控える仁王像は運慶仏師の作だといわれている。
2 五十五段の石段
道路に面した鳥居から本堂へと石段が続く。登っていくと最後の五十五段のみに大きな石が使われていて急勾配になっている。身が清まる思いで最後の数段まで登ると、本堂の桧皮葺の美しい屋根が姿を現す。
3 瀧山寺本堂
鎌倉時代から受け継がれている火まつりで有名な瀧山寺 鬼祭り(県指定無形民俗文化財)の舞台となるのがこの本堂である。欄干や床をよく見ると黒く焦げているところがいくつもある。本堂内部には薬師如来、日光菩薩、月光菩薩、不動明王、毘沙門天、十二神将が静かに佇んでいた。十二神将の表情をよく見てみると、面白い表情もあるので確かめてみよう。本堂は国指定重要文化財。
4 日吉神社
瀧山寺境内を見渡すことができる高台にある日吉神社。全国でも珍しい七間流造りで、7つの間(部屋)に7体の御神像が安置され、瀧山寺を見守ってきた。建屋の老朽が激しいため御神像は現在、岡崎市美術博物館に収蔵されている。
5 水体薬師如来御霊水
本堂の裏に奥へ続く道がある。尾根つたいに歩いていくと、飲むと健康になると伝えられている知る人ぞ知る穴場「薬師さんの湧き水」がある。
6 瀧山東照宮
本堂に隣接している「瀧山東照宮」は、三代将軍家光の命により勧進されたもので、日光、久能山とともに東照宮三宮とされている。現存の東照宮社殿は、正保3年(1646)8月に竣工したことが知られており、本殿のほか、拝殿・幣殿、中門、鳥居、水屋が国指定重要文化財となっている。
7 宝物殿
ここには「聖観音・梵天・帝釈天三尊像」をはじめ鬼祭りの「鬼面」(祭りで使用されているのはレプリカ)、「木造十一面観音菩薩像」などが収蔵展示されている。聖観音像は、鎌倉時代の第一の仏師である運慶・湛慶父子の作として国の重要文化財に指定されている。頼朝公の等身大であり、仏身に御髪と御歯が納められている。三尊像の後ろ姿の美しさや、一筋の光で表情が変化する木造十一面観音は必見。
※この記事は2017年01月01日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。