京都 詩仙堂のイメージを再現


 江戸時代初期の武士・文人として名高い石川丈山は、碧海郡泉郷(現在の安城市和泉町)で生まれた。後半生は京都に建てた詩仙堂で過ごした。丈山苑は、その詩仙堂のイメージを生誕地に再現したもので、自適に生きた丈山のこころを、四季折々の草木を通して感じることができる。本格的な和風庭園と書院でくつろぎの空間を堪能しながらゆっくりと巡った。


1. 北入口から詩泉閣へ続く小径



北入口を入ると四季折々の草花や木々が出迎えてくれる。詩泉閣へ続くせせらぎ沿いの小径をゆっくり歩いていくと望京橋が見えてくる。耳を澄ますと小鳥たちのさえずりが心地いい。


2. 詩泉閣



丈山苑のメインとなるのが詩泉閣。広縁から庭園を眺めていると、風のそよぎさえ聞こえてくるような静けさと、移りゆく四季の美しい表情にしばし時を忘れる。はしごのような階段を登ると3階に嘯月楼がある。円窓越しに眺める風情は格別。月に親しみ、月に吟ずる丈山の世界に浸ることができる。


3. 唐様庭園



詩泉閣の南にひろがる南庭は、京都・詩仙堂の庭をイメージした唐様庭園。書院の前には白砂にツツジの大苅込み、詩仙の間の前には建物に沿って流れる細流、その向こうに中国の山々にみたてたツツジの苅込みがあり、五重の石塔が建てられている。いずれも丈山が建てた詩仙堂の様子を再現したもの。


4. 枯山水蓬莱庭園



詩泉閣の北側には、京都田辺にある酬恩庵一休寺の蓬莱庭園(丈山作と伝えられる)を模した庭がある。五葉松を中心に、中国東海の想像上の楽園とされる「蓬莱」をイメージしている。詩泉閣の広縁から眺める庭園は格別だった。


5. 回遊式池泉庭園



丈山苑の東側にひろがる回遊式池泉庭園は、京都東本願寺の渉成園(枳殻邸)をモデルにつくられている。大きな鯉が優雅に泳ぐ池のまわりには築山や四阿が配されている。池の周囲を散策しながら、さまざまな景色が楽しめる。丈山の漢詩で最も有名な「富士山」の石碑や丈山の銅像も見ることができる。


取材場所
安城市 Google Map
住所
安城市和泉町中本郷180-1
電話
0566-92-7780
営業時間
午前9時~午後5時(入苑は午後4時30分まで)
入苑料
一般100円、団体(10人以上)80円、中学生以下無料
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は、ご提示でご本人と介護者1名が半額(50円)
呈茶/一服300円
休苑日
毎週月曜日(祝日の場合は開苑)、年末年始(12月28日~1月4日)