藤井達吉は小原和紙の良さに目をつけ、単なる紙づくりに終わらず素材をいかしながら小原和紙を「小原和紙工芸」として美術品の域にまで高めた人物。前回は藤井達吉の生い立ちについて巡る旅であった。今回は総合芸術家藤井達吉の功績について追うため、小原和紙の里を訪ねた。
藤井達吉が小原村にやってくる
昭和20年(1945)、達吉は「新しい工芸で村を豊かにしたい!」という想いで良質な手すき和紙(三河森下紙)が盛んであった小原村(現豊田市)にやってきた。達吉はまず、小原和紙の原料である楮(こうぞ)の繊維に染色し、風景や象徴的な模様を色紙やふすまにすき込むという新しい作り方を考案し小原和紙工芸の基礎を築く。
小原和紙工芸を担う若者の育成
小原和紙工芸の基礎を築いた達吉は、次に若い芸術家たちを育てた。若き芸術家たちは昭和25年(1950)達吉が村を離れたあとも藤井の元に通い研究を重ね小原和紙工芸を完成させている。小原和紙美術館では藤井達吉の小原和紙を美術の域にまで高めた作品を見ることができる。
小原和紙工芸で紙漉き体験&キャンドルづくり
「和紙工芸体験館」では藤井達吉が編み出した小原和紙に色や模様を付ける小原和紙工芸の技術を体験することができる。今回は紙漉和紙キャンドルづくりを体験させていただく。
小原地区の秋周辺をぶらり散歩してみよう
小原地区には、春と秋に開花する全国でも珍しい四季桜が約1万本あり、紅葉の時期は可憐な淡いピンク色の四季桜と、紅葉の鮮やかな赤との不思議なコラボレーションが楽しめます。藤井達吉もかつてこの景色を見ていたのかもしれない。
『小原和紙のふるさと』の施設紹介
豊かな自然に囲まれた施設には、紙漉き体験実習ができる「和紙工芸体験館」、豊田小原和紙工芸や総合芸術家藤井達吉の美術工芸作品や全国の和紙資料を紹介する「小原和紙美術館」、本格的に取り組みたいクリエーターやワークショップに利用できる「和紙とうるし工房」や和紙原料植物を栽培する「見本園」、小原の自然を満喫できる「遊歩道」などがある。
豊田市小原和紙のふるさと
住所:豊田市永太郎町洞216-1
TEL:0565-65-2151(代表)
0565-65-2953(紙漉き体験)
営業時間:9:00 ~ 16:30(体験受付は16:00 まで)
定休日: 月曜日(月曜日が祝日等の場合は開館します)
HP:https://www.washinofurusato.jp/
※この記事は2023年10月01日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。