知立の弘法さん



弘法大師・空海ゆかりの土地は全国に多いが、知立市にある遍照院もそのひとつ。住所は「弘法町弘法山」であり、そのゆかりの深さが地名からも伝わってくる。地元では「知立の弘法さん」と親しみを込めて呼ばれ、三河三弘法の第一番札所でもある。また、東海三十六不動尊の第十八番札所、三河新四国八十八ヶ所の番外札所にもなっている遍照院を訪れてみた。


1 本堂



風格のある山門をくぐって緑豊かな境内を進むと、正面にあるのが本堂。本堂前には草花が生い茂り、心が和む空間で、多くの参拝者が訪れる。地下道場に設けられた戒壇めぐりは、まっ暗な闇の中を行道するもので、うす明かりの中に弘法大師さまが拝める。


2 弁天堂



境内中心にある本堂を取り囲むように様々なスポットがある。山門をくぐって左手にある弁天堂から時計回りに巡ってみた。ここには古来真言宗の寺院に付随して奉納される五穀豊穣、商売繁昌、技芸向上の仏様が祀られている。


3 薬師堂



藤原期の銘品で、江戸時代までは尾張名古屋城内、天王坊の本尊として尾張城主の祈願佛であった霊顕あらたかなお薬師さま。無病息災、諸病平癒に霊顕ありと、分身の千軆薬師を奉納し、信仰されている。


4 奥の院



本堂裏に広がる境内に四国八十八ケ所お砂踏み霊場が設けられ、その中心に奥の院堂がある。信徒一般の納骨堂として香煙の絶えることがない。


5 安産子育弘法大師像開山堂(本堂内)



身の丈、十五尺の子供を抱いた石像のお大師さまで、安産祈願、子供の無事成長祈願を願う人が多く、戦後は子授け祈願の信仰も増え、春秋の大祭には、「子福もち」の接待がある。


6 修行大師像



十六尺の石像で、三弘法根本霊場開創千百年を記念して大正十四年に安置されたもの。当山を御開創になった頃のお姿を忍んだものである。


取材場所
知立市弘法町 Google Map