路線図


 西尾—岡崎を走る西尾鉄道(西三軌道㈱)が開通したのは明治44年10月29日。岩瀬彌助ら地元の人たちの熱い思いで実現したのだった。来年は開通から100年になる。この地域の人たちにとって鉄道への愛着は深いものがある。
 今、わがまちの鉄道、名鉄西尾・蒲郡線への思いもひとしおだ。今回は山と海をのぞむ幡豆町を歩いてみた。各駅停車のスローライフな1日を楽しんだ。


路線の中心、西尾駅前で。7月には、大名行列が見ものの「西尾まつり」が開催される。西尾市では現在、同市在住の小学生以下の子供と親に、名鉄西尾~蒲郡間、乗車区間の乗車券を無料交付している。 西尾市企画課☎0563-56-2111(代)

三河鳥羽駅で時間調整の電車が交差する。駅前はきれいに整備され、鳥羽の火祭り(国指定重要無形民俗文化財)の看板が目をひく。祭りは毎年2月第2日曜日。その神明社へは駅から1km。駅から海岸沿いに潮風を浴びて吉良ワイキキビーチへ歩くのもいいかも。20分位で着く。


自作の幡豆焼きを手に深谷勝信さん(35歳)。三河鳥羽駅から鳥羽川に沿って1.4km程の山間に、深谷さんの玄楼窯がある。幡豆の土は青みがあり、焼くと銀発色するという。「いずれ幡豆ブランドにしたい」と言う。陶芸教室や1日体験もできる。☎0563-62-2670 この先には乗馬もできる吉良の赤馬牧場がある。☎080-5105-5059(杉本さん)


尊皇のはずブランドともいうべき「三河鳥羽の火祭」は、西尾市在の画家斎藤吾朗さんの赤絵で飾られ、玄楼窯・深谷さんの酒器とセットになっている。深谷さん作の酒壷入り(右側)もある。




西幡豆駅前は、駅前売店や喫茶店、書店、写真館などがあって、いい雰囲気。「尊皇」(地図②)の蔵も近い。尊皇は明治36年の創業。岩壁と土の間を流れる伏流水と地元産の酒米でつくる銘酒は「おいしい」。向いのヤマリでは、はずブランドにと、地元の食材を生かしたおむすび弁当「はずむす」を販売している。(地図③)

西幡豆駅前にあるミニ喫茶たんぽぽの手づくりパン。「おいしそう!」と、つい手が出てしまう。季節には地元のイチゴ、イチジクを使ったジャムのパンも作る。営業時間 9時半~14時、土・日・祝日休み。☎0563-62-5635




千原いづ美さんが5年前に「自己流」で始めたという手づくり菓子の「なごみ」。懐かしい「油菓子」の味に子供気分に返る。地元産の手づくり「すずみそ」と尊皇のお酒をベースにしたパウンドケーキ「夢はず味」は日本茶にあう和風ケーキ。(地図④)☎0563-62-2380(店のお菓子はAコープ幡豆店隣のグリーンセンターでも販売)


寺部城址。ここから三河湾がのぞめる。西幡豆駅から0.7km。



幡豆は「民話の里」でもある。民話のあらすじを記した石のパネルがその里の各所に設置されている。写真は穴弘法と抱き地蔵のパネルの前で。


全国的にも珍しい見影山穴弘法はぜひ訪れてみたいところ。西幡豆駅から15分も歩けばいい。貧しい家の娘が母親のため、四国八十八札所のお砂をもらってきてほしいと村人に頼んだのが始まりと民話に伝わる。144mの山頂までに、ぐるりと八十八体の弘法さんが石で積まれた祠の中に祀られているのだ。杖も用意されている。ゆっくり登ってみよう。


穴弘法の近くにある「抱き地蔵」を抱いてみる。願いが叶うかな?


東幡豆駅前を行く。駅舎は昔ながらの木造で、宿直室(1畳半)もある。

東幡豆駅前の手焼きせんべいの中新本舗に立ち寄る。はずブランドとして焼いているアカシャエビやメゴチをふんだんに使った「はずせん」に手をのばす。☎0563-62-2259(地図⑤)



東幡豆駅のすぐ南には東幡豆港が。食堂や民宿もある。駅から200mの、かぼちゃ寺として知られる妙善寺(写真)はぜひ訪れてみたい。

東幡豆海岸で



こどもの国駅。ここから愛知こどもの国へは歩いて15分。

愛知こどもの国は、こども汽車、サイクル列車、ゴーカートなどの乗物や遊具広場、ぼうけん広場などなど、家族そろって自然の中で楽しめる。キャンプ場、プール(夏休み)もある。☎0563-62-4151


取材場所
西尾市幡豆地区 Google Map