ぶら~り 道草一日旅
西尾といえば、日本一の抹茶の里。全国生産量の約20%を占めている。温暖な気候と矢作川がもたらす豊かな土壌と川霧に恵まれ、良質な茶葉を育ててきた。
西尾茶は文永8年(1271)創建の実相寺境内に、その開祖聖一国師が宗よりもたらした茶種を播いたことに始まる。慶長年間には主な寺院に茶園が設けられ、村々に普及した。西尾藩は茶代という貢租を課していた。明治5年(1872)、稲荷山の麓にある紅樹院の足立順道師が宇治より種子と製茶技術を持ち帰った。茶畑を開き、地元農家にも栽培を勧めた。やがて、茶畑は稲荷山から矢作川左岸へ広がっていく。大正後期には、てん茶(粉状の抹茶にする前の原料茶葉)の栽培、製造に力を注ぎ、現在に至る。
今では稲荷山茶園は100haに及ぶ。平成17年には「東海美の里百選」に選ばれた。同21年には「西尾の抹茶」は抹茶としては全国初の地域ブランドとして認定されている。
今回は西尾茶のシンボル、稲荷山茶園と周辺に集まっているお茶屋さん、ゆかりの寺院、抹茶風味の和菓子のお店など、抹茶の里コースを散策してみよう。帰りは市街地を通り、西尾駅へ。
名鉄米津駅で。ここから矢作川左岸を歩き、稲荷山茶園公園へ向う。約3km。じっくり、歩きを楽しもう。
お茶屋さんの並ぶ県道を歩く。
⑳ 米津羊羹本舗は、明治期の創業で、現在の店主米津眞一さんが5代目。矢作川を上下する川船の船着場に近く、当初は茶店(ちゃみせ)・米津屋だった。昔ながらの「米津羊羹」は甘さ控え目の人気商品。
稲荷山茶園公園からは茶園が一望できる。
紅樹院には、今も西尾茶の原樹が大切に保存されている。
緑の風が心地よい稲荷山茶園で。
④ 晴月園は、気さくで、買いやすいお店、常連さんも多い。抹茶を使ったお菓子だけでも10種類はある。米米まんじゅうは、お茶のほのかな甘味が楽しめる。抹茶風味の白あんでサクサク感のある茶茶丸(写真)、抹茶もちもちどらやきもおいしそう。
⑦ 全国から工場見学で訪れる人たちも多い。西尾茶のイメージアップにつながっている。明治21年創業の「あいや」。100台を越える挽臼(茶臼)が休みなく回っている。入店のお客さんには抹茶をサービスしてくれる。
⑧ 横町屋敷の信号を北へ入ると葵製茶がある。店舗2階には茶室と粋な野点風の茶席があり、ゆったり気分に浸れる。工場見学のあとは、ここで抹茶がいただける。1階にも茶室・葵庵がある。
⑬ 松鶴園の茶房「茶遊」でひと休み。抹茶の蜜・ゼリー・白玉などが盛られたかき氷(770円)もある。(写真右側)松遊ランチ竹(1380円)は、日替りのご飯、おかず(4品)に抹茶そば、抹茶(又はグリーンティ)、ミニパフェが付く。(写真左側)ここでは抹茶も自分で点てられる。
実相寺へ。市文化財のクロマツに見入りながら歩くと、正面に釈迦堂(県文化財)が建つ。本堂と庫裡は国の登録文化財。江戸期の特色を今に残す。
⑯「すゞや」は、みたらしだんごで知られるが、おいしい和菓子も盛りだくさん。栗入りの小豆あんと、白あんの中に抹茶の入った抹茶あんを、それぞれ最中の中に入れた、その名も「めおと鈴」(写真)につい、手がのびてしまいそう。
⑰ 穂積堂に一歩入ると、すぐにお茶とお菓子(この日は西尾抹茶カステラ)を運んでくれる。抹茶を生かしたアイデア豊かなお菓子が目を引く。丸く、つるりとおいしそうな茶ぼーず(薄茶)に極み茶ぼーず(濃茶)、とろけるような「抹茶かのこぷりん」もおすすめ。
名鉄西尾駅構内にある「にしお観光案内所」では、観光で訪れた人たちに無料でレンタサイクルの貸出しをしている。9時30分~16時30分。また、土・日曜、祝日には抹茶サービスもある。(但し、要観光事業振興のための協力金、金額自由)
※この記事は2011年07月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。