名鉄吉浜駅を降りてすぐ、ここは昭和39年に愛知県無形文化財に指定された「吉浜細工人形」のまち。360年以上も続く伝統の細工人形である。かつて吉浜は、多くの商店街が並び「吉浜銀座通り」として賑わっていた。当時のような活気を取り戻そうと平成18年に地域住民や商店事業者らが中心となって「人形小路の会」が発足。「花まつり」「菊まつり」「雛めぐり」といった季節イベントを行い、まちを盛り上げている。まつりイベントを開催していない時も人形小路を歩くとさまざまな細工人形に出会える。一番館から続くレンガを辿ってたくさんの地元愛に溢れた人形小路を巡っていく。
高浜茶屋 吉貴
全国でもめずらしい人形美学の展示館。歌舞伎ものを主体に創設者である花雲斎紫峰が遺した人形芸術を公開している。藤井達吉氏に教わり人形芸を習得された。その人形の数はなんと100体を超える。歌舞伎人形の制作には3年かかり、23年前(平成12年)に吉貴をオープン。2階にある自動制御で繰り広げられる等身大の人形歌舞伎の大絵巻には、その世界観に圧倒される。歌舞伎が好きな方にぜひ観ていただきたい。一階は人形を見ながらほっと一息つける休憩スペースがあり、小物などの販売も行っている。
高浜茶屋 吉貴
問0566-54-0588(11:00~16:00 年中無休 臨時休業あり 2階入場料500円)
吉浜善光寺(柳池院)
天台宗のお寺。吉浜善光寺(柳池院)は吉浜細工人形発祥のお寺と言われている。令和4年度は「どうする家康」の細工人形を見ることができる。
伝承工房(八番館)
細工人形の解体新書が展示されている。人形の胴体は竹や巻き藁、新聞紙などを使用。服には貝殻や木の実が使われている。木の実や貝殻をピンセットを使って一つ一つ飾りつけるそうだ。1か月でボディができ、舞台装置や小道具などを準備し、完成には約2カ月かかる。
金剛山 宝満寺
開山は約300年前と言われており御鋳物師国松十兵衛の梵鐘がある。健康祈願や災厄消滅のお寺として知られており、その年の細工人形が奉納されている。令和4年は今話題の藤井聡太竜王と加藤一二三プロ棋士の対決。装飾には貝殻や植物の種が使われている。
子供たちが作る細工人形
子どもたちの細工人形も素晴らしい。将来、人形師や菊師として活躍する子たちが現れるかもしれない。子どもの頃から細工人形に関わることができるのは吉浜の魅力といえるだろう。令和5年度は吉浜小学校の創立150周年ということで、なにやら小学校の児童たちで物語を考えているらしい。
ちょっとこぼれ話
人形小路の会 神谷さんのおはなし
高浜市無形文化財である菊人形。日本全国の菊人形制作に関わっている人形師や菊師には吉浜ゆかりの方が多い。その昔、菊人形がブームになった際に作り手が足りず、細工人形づくりができる村人が多かった吉浜に白羽の矢が立ち、日本全国に派遣されたらしい。
秋の吉浜 耳より情報
11月5日(土)~13日(日)は地元で一堂に会し展覧する恒例の「菊まつり」が行われる。菊まつりでは、菊師神谷重明氏の菊人形や吉浜まちづくり協議会が主体となり地域の子供たちと手掛ける菊人形や菊花展を見ることができる。※予定は変更する場合もあります。詳しくはHPをご確認ください。
※この記事は2022年10月01日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。