瓦のまちの歴史と風情を楽しむ

大正時代、瓦の輸送のため開かれた切通し坂にある鬼パークで。ユーモラスな表情の鬼面の椅子がずらり。

 高浜市は生産日本一を誇る三州瓦の主要生産地である。三州瓦の発祥は室町中期といわれ、江戸時代には高浜を中心に60軒の専業者がおり、高浜や大浜から江戸へ出荷されていた。現在、三州瓦工業協同組合には36社が加入している。(うち高浜市28社)。
 家を守ってくれるという鬼瓦も古くから製作された。三州鬼瓦製造組合には高浜市で12社が加入。今も優れた鬼師たちが伝統的手法で、様々な鬼瓦を創作している。
 まちを歩けば、民家や寺院の屋根に独創的な鬼瓦や飾り瓦を見ることができる。鬼瓦のモニュメントも興味深い。高浜ならではの風情である。
 瓦を敷いた歩道も設けられ、標識も完備した「鬼みち」は“美しい日本の歩きたくなるみち500選”にも選ばれた。約5kmの道のりを楽しんでみよう。



高浜市観光協会でパンフレットをもらう。事前に申し込めば鬼みち案内人が案内してくれる。
☎0566-52-1111

スタート地点である名鉄高浜港駅前には、ニコニコ鬼広場がある。奈良・東大寺の鬼瓦を模した巨大鬼面にびっくり。高浜の小学生制作の鬼面のモニュメントも楽しい。

切通し坂を下る。

縁ふれあい工房の前で。標識でコースを確認。

縁ふれあい工房では、岩月さんが抹茶を点ててくれた。以前は履物店だったが、今は気楽に立ち寄れる休憩所、ギャラリーとして開放している。

高浜市やきものの里かわら美術館の入口では、日本一といわれる高さ3mの巨大鯱(オス・メス2体)が迎えてくれる。

かわら美術館北の森前公園は瓦で海を表現している。後方正面にサロン赤窯、塩焼き窯の煙突が見える。

ものづくり工房あかおにどんで。木工のおもちゃ、家具などを作ることができる。
(要予約)火・木・土・日曜 10:00~16:00開館。問い合わせ ☎0566-52-0909

サロン赤窯の奥にある昭和30~40年代に使われた塩焼瓦窯の見学もできる。塩を入れて焼き、赤い瓦を作った。サロンでは作品展示やお茶の接待も。自転車の貸出しもある(開館日時等は、あかおにどんと同じ)

蓮乗院で。天女や仙人、亀や竜宮城など、おとぎ話の世界の飾り瓦がある。塩前寺の烏天狗、恩任寺の鬼瓦も見もの。

森前公園の丘陵地に立つ高さ8mの陶管焼きの観音像は、日本一の大きさという。高浜の鬼師が昭和34年に作った。十神将のレリーフや鐘楼の下向き鬼瓦、本堂の破風飾り(写真下)などなど、見所が多い。




大山緑地には瓦の遊歩道や瓦庭、瓦のオブジェが点在し、楽しく散策できる。

高さ5.2m、胴回り8m、日本一といわれる陶管焼の大たぬきの前で。(大山緑地)




大山緑地にある春日神社。拝殿の屋根は高浜が誇る、いぶし瓦と鬼瓦。参道には珍しい陶管製の狛犬も。

春日神社参道から脇道への角にある馬頭観音。瓦などを運ぶ馬主たちが大正5年に建立した。




春日神社に近いお菓子司「いそむら」の店内で。いっぷくメニュー(お菓子と抹茶又はコーヒー、ジュースで400円)で、ほっとひと息。春は桜餅、桜大福が人気。

明治18年創業という竹善。揚げたての天ぷらが食べられる。ひつまぶしもおいしい。


取材場所
高浜市「鬼みち」 Google Map