板倉勝重の菩提寺
長圓寺は、江戸時代初期に京都所司代として活躍した板倉勝重とその一族の菩提寺として、寛永7年(1630)に創建された。「三河七福神布袋尊霊場」「三河三十三観音第三十三番礼所」であり、お盆の「かぎ万燈」や桜の名所としても知られる万灯山麓にある閑静な禅刹。新緑の香りを感じながら巡った。
1 山門
苔生した緩やかな石段を登っていくと風格のある山門がある。瓦には板倉家の家紋である三巴、屋根の両端には唐獅子が睨みをきかせていた。山門の手前左には戒壇石があり、ここをくぐりさらに石段が続く。戒壇石とは寺院の前に立てた石標で、寺院全体を戒壇と見立てたもの。
2 鐘堂・水盤舎
緩やかな石段を登ると奥に大きな本堂が見えてくる。左手に水盤舎、右手に鐘堂。その脇には立派な菩提樹があった。
3 本堂
燻銀に光る瓦葺き屋根、黒の板戸と白い障子のコントラストが清々しい。近づいて見ると本堂の大きさに圧倒される。中央の桟唐戸を開けて入ると土間になっている。
4 観音像・布袋尊(本堂内)
本堂に入ると正面には金色に輝く観音像が祀られている。その右手には布袋尊が鎮座している。
5 開山堂(本堂内)
観音像の裏は開山堂で、一般人は入ることはできない。正面の部屋には歴代板倉家の位牌が祀られており、さらに奥の部屋には歴代住職の位牌が祀られている。
6 開運抱き地蔵尊(本堂内)
本堂を入ってすぐ左手に開運抱き地蔵尊がある。石のお地蔵さんを抱いて念ずると心が洗われて道が開かれるという。
7 光悦書手水鉢(市指定文化財)
本堂の左に肖影堂へ続く石段の参道があり、参道脇に光悦書手水鉢がある。裏面に本阿弥光悦が「寛永七年(一六三〇)四月廿九日」に書いた刻銘がある。
8 長圓寺肖影堂(県指定文化財)
板倉勝重の霊廟で、七回忌に当たる寛永七(1630)年に、板倉重宗によって建立された。正面の扁額「肖影堂」は、石川丈山筆。堂内には勝重の納骨像と伝えられる木造板倉勝重坐像(県指定文化財)が祀られている。
※この記事は2017年07月01日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。