西尾市東幡豆町で、古くから鮮魚卸を営む「カネカ神田」には、子どもの成長に合わせた魚料理を提案、商品開発まで手掛ける “さかな屋の嫁”がいる。彼女の名前は神田光さん。彼女のセミナーで離乳食や子どもの食に悩む女性が集まり彼女の講演に耳を傾ける。そんな“さかな屋の嫁”として活躍する神田光さんはどのような人物であるのか、話を伺った。


本日はよろしくお願いします。ママと子どものためにさまざまな取り組みをされている神田さん、まず現在のご活動内容を教えてください。


運営としては海の見えるレストラン〝MerBrillante〟や離乳食専用のお魚「ととBaby」を運営しています。あとは離乳食講座を定期的に開催したり、お出汁やお魚のさばき方の講座や学校の先生の研修会の講師をしています。離乳食の初歩であるおかゆの絵本も発売しました。



いろいろな活動をなさっているのですね。現在〝さかな屋の嫁〟という肩書きで大活躍中の神田さんですが、結婚する前からお魚のことに携わっていたのですか?


いいえ、結婚する前は名古屋で料理人をやりながら、飲食店のサービスや店長、マネージャーなど飲食店経営の第一線で働いていました。その時、魚の仕入れで主人(四代目神田敬祐さん)に出会います。これが私にとって大きく変わった出来事になりました。


もともとお魚が好きで旦那さんと結婚して、魚屋の嫁になろうと決意したのですか?


いいえ、結婚するまでは魚は好きじゃなかったんです。今まで魚料理をおいしくするのは手間のかかるソースや調理技術だと思っていました。でも、主人がやっている魚屋を知ってその概念は覆されます。その日に獲れた魚をその日に売る〝担ぎの魚屋〟と、日本全国から送られてくる魚を市場で競り売る〝送りの魚屋〟があることを知り衝撃を受けました。主人たちは担ぎの魚屋です。


これをきっかけに新鮮な魚と魚屋の魅力に気づいたということですね。


はい、そして忙しそうにしている主人たちを見てカネカ神田を手伝うようになり、あまり好きじゃなかった魚を毎日食べるようになり、私はその新鮮な魚のおいしさに感動しました。


そして〝さかな屋の嫁〟として活動を決意したのですか?


はい、この感動を伝えたくてブログを始め「もっとたくさんの人に知ってほしい」「実際に一人ひとりに食べてほしい」と思うようになりました。そして〝さかな屋の嫁〟と名乗るようになります。女性に身近なさかな屋さんとして社会に貢献したいと強く思いました。



「自分にしかできないことがしたい」という気持ちわかります。では、離乳食インストラクターのきっかけについても教えてください。


そうですね。長男が離乳食を食べてくれず悩んだ事がありました。そして同じように悩んでいるお母さんに出会います。私は「離乳食で悩むママのお手伝いがしたい!」と思うようになりました。これをきっかけに離乳食インストラクターや離乳食アドバイザー、幼児食アドバイザーの資格を取得し、商品開発をスタートさせます。


子どもにとって魚にはどんなメリットがあるのでしょうか?


魚は栄養豊富。良質なたんぱく質や鉄分、DHAなどが含まれています。その時期に獲れる魚を味わうことで日本ならではの四季を感じることができます。また、魚なら生きていた時のカタチも目で確かめることができるので「命をいただく」気持ちも育てることができます。


魚が苦手なお子さまのことで悩んでいる方にアドバイスをお願いします。


「魚」ぎらいは「ある種類の魚」が苦手なだけかもしれません。魚は種類豊富なのが魅力です。タラが苦手な子どもには「じゃあカサゴはどう」「鯛はどう」と多くの種類を試してみることができます。魚が苦手なお子さまにぜひ試してみてください。


赤ちゃんの離乳食は何から始めたらいいですか?


まずは鯛やヒラメなどの白身から、白身が食べられるようになったらマグロやカツオなどの赤身、そしてアジやイワシなどの青魚と順番に食べられる魚を増やしていきます。魚の身自体が苦手ならば、かつおや煮干し出汁で慣れさせてあげるのも手です!「苦手」となったその時は無理をさせないことです。ただ、その時期に食べなかったものでも少し成長を重ねると急に食べられるようになることも多くあります。食べられないことに悩みすぎず、いろいろな魚をチャレンジしてみてください。


それでは最後になりますが、神田さんの今後の展望と読者に伝えたいことをお願いします。


魚の消費量が増えれば漁業も街も賑やかになります。お子さんにスーパーの鮮魚コーナーや潮干狩りなど少しでも魚に興味を持つきっかけを作ってあげてください。


本日は素敵なお話、ありがとうございました。



インタビュアー
石原 智葉さん
石原 智葉さん

昭和48年西尾市で生まれ育ち、OL時代を経て26歳で結婚。一級建築士試験(合格率10%難関試験)を44歳で取得。一般の方向けに自然素材を使った家づくりについて勉強会などを自社で開催しながら、設計業務をしている。普通の主婦から一級建築士になったからこそ培われた視点で自然に寄与する家づくりを提案している。