わずか21歳で人材をテーマとした地域活性化に取り組むG-netを創業され、2013年からはオカビズセンター長としてご活躍なさっている秋元氏。8年間で約1万8,000件を超える相談を受け、売上アップのサポートに尽力している。このように行列の絶えない中小企業相談所となったオカビズではどのような支援を行い、中小企業とどのように向き合っているのだろうか。地域活性化や中小企業支援のエキスパートである秋元氏に話を伺った。

21歳という若さで、2001年に創業された人材をテーマに地域活性化に取り組むG-netを創業されているのですね。なぜ創業に至ったか、その経緯が気になります。

私の地元である岐阜県岐阜市の柳ケ瀬商店街では、大型百貨店の撤退により人の往来が減り空き店舗も増えていました。そんな寂しい商店街を見て「何かしたい」と思い、2001年に地域おこしを題材としたG-netを創業しています。地域の元気には人を増やすことが大切ですが、地域が儲からないと定住率は上がらない。経済活性化のキーワードとは人材だと思いました。自ら手を挙げて行動できる人材、中小企業の右腕として経営改革に入っていける人材を育てることが大切。そこで、「人が地域おこしをする」をテーマにG-net取り組みを続けてきました。15年ほど前に、全国で初めて地方都市での長期実践型大学生向けプログラムを事業化。全国の高校で使われる政治経済の教科書に、G-netが載りました。ソーシャルビジネスという特集ページの代表例の一つとして掲載されたのです。G-netは今年で20年目を迎えます。

人に着目し、経済活性化に繋げる取り組みを続けてこられた秋元さんのパワーが凄いです。現在もG-netの活動は続けていらっしゃるのですか?

2013年に愛知県岡崎市にセンター長としてお声かけをいただき、オカビズを立ち上げたのですが、当初はG-netの代表を務めながら、オカビズのセンター長を兼任してきました。現在G-netは2017年頃に事業承継しています。

お子さんも話題になっていましたね。小学2年生で本を出版されたとか。テレビで拝見しました。

娘は8歳の時に『しょうがっこう だいすき』という絵本を出版し、これは日本と中国と合わせて11万部売れています。今や〝ういちゃんパパ〟として取材を受けることも多いんですよ。脱線しましたね。話しを戻しましょう。

娘さんのことをお話される秋元さんも素敵です。お話をもっと聞きたいところですが、改めまして21歳で創業した時の後押しとなった言葉などがあれば教えていただけますか?

G-netを立ち上げた頃、数年間は大学に在学し、NPOを運営していました。その頃の私は、事業拡大に伴い岐阜にいる時間が多くなりました。そのまま大学を辞めて事業を続けるのか、それとも大学を卒業して就職するべきか迷いましたね。NPOを運営していきたいというと、母親は猛反対でした。その時、ある企業の代表に言われた言葉が「秋元くん、Don't think, feelだよ」。この一言で、自分の気持ちを素直に感じて行動しようと思いました。

Don't think, feelいい言葉ですね。この言葉が現在の秋元さんの原動力となって企業を考える若い世代や中小企業で頑張る人たちの後押しにもなっているわけですね。

地域の99・7%は中小企業です。中小企業が元気になれば地域は変わる。公的産業支援機関は、補助金や助成金など経営を守る部分を支援しています。しかし、守りの支援ばかりでは、ものは売れない時代。新たに売上アップに特化した中小企業相談所が必要でした。そこで2013年にオカビズが立ち上がります。モデルとなったのは静岡県富士市産業支援センターf―Biz(エフビズ)。公的産業支援の中に攻める部分(売上アップ)の経営支援ができる機能が足りていない。だからこそオカビズが必要な相談所でした。8年ほど経ちますが、これまでに相談にこられた方は約1万8,000件。1回1時間無料相談なのですが、8割以上の方がリピーターです。新しく来られる方の8割以上がSNSでの情報発信から。行列の絶えない中小企業相談所としてメディアでも特集されました。


オカビズ 相談風景


どれくらいの年齢層の方が相談に来られるのでしょう。


中学生からご高齢の方まで幅広い年齢層ですね。中学生や高校生から事業をやりたいという子もいます。ご高齢でも今までのキャリアを活かして事業をしたいという方がいらっしゃいます。ちなみに、相談者の半分弱は女性。キッズスペースを設けていることで、相談が受けやすい環境になっています。支援相談員はジェンダーバランスを意識して採用。LGBTに関する社内研修などに取り組んでいます。そういう取り組みを内閣府にお褒めいただき、女性のチャレンジ支援表彰も受けました。これは日本の中小企業相談所としては初の表彰となります。


オカビズにて女性からの相談を受けている秋元氏


これまでに沢山の中小企業や事業を立ち上げたいという方と向き合ってこられていますが、秋元さんが感じる中小企業の販売促進としての課題があれば教えてください。

中小企業の販売促進の課題でいうと、自社の良さに気づいていない方があまりにも多いということですね。常日頃当たり前のようにやっている事で、良さに気づいていない。あるいは、業界の常識にとらわれ過ぎていて、よくわからなくなっている。私たちはその良さを1時間かけて引き出します。


コロナ禍で中小企業からの相談は増えたのではないですか?売上は下がり、中小企業は今ピンチの状態が続いているところが多いと思います。


ピンチはチャンスに変えることができます。老舗和菓子店のご主人が進物の激減で、昨対⽐40%以上減となりご相談に来られた時、オカビズで提案した内容を例にします。その老舗和菓子店ではどらやきが人気商品でした。そこで、今まで皮と餡をセットで売っていた「どらやき」を分けて販売することを提案。これは「⾃宅でできる⼿作りどらやきセット」としてメディアにも取り上げられ大ヒット商品となりました。こういったピンチをチャンスに変えた新商品・新サービスが100以上オカビズから生まれています。


ピンチをチャンスに変える。中小企業の良さを引き出すオカビズならではの閃きですね。今後、チャレンジしてみたいことなどあれば教えてください。


オカビズは市の相談所ではありますが、中小企業相談所業界のベンチャーだと思っています。コロナ禍は今後も続くと思います。これまでの常識は変化を続けていくでしょう。これからも、ピンチをチャンスに変えられるような新たな取り組みをどんどんと始めて、相談者をサポートしていきたいと思っています。



インタビュアー
榊原裕美さん
榊原裕美さん

安城市出身。名古屋音楽大学大学院修了。
合資会社中善楽器に勤務し音楽教室運営業務に携わる他、音楽講師として指導にも携わる。ライフワークとして電子オルガンと他楽器との共演、公演企画に注力。音楽を通じて人と人を繋ぐこと、スポットライトを浴びること、舞台袖で動きまわること、様々な形で音楽に携われていることに幸せを感じている。