家族5代130年という歴史を繋いできたふとん屋が碧南市にある。老舗、西川(株)のチェーン店として、ストレス社会を生きる現代人が求める「ぐっすりな眠り」を品質にこだわりをもった商品と眠りの相談を通し提供している。

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綿七創業の年、明治27年(1894年)当時は、ふとん屋はなく、綿を布に詰める作業は各家庭で行なっていた。綿の弾力がなくなれば綿を打つのが綿屋の仕事。七六には良い綿の仕入れ先を先読みする先見の明があり、悪い綿は使わず綿の打ち方にも研究を重ね、一切の妥協を許さない「質にこだわりを持つ」という信念で、三河にとどまらず遠くは尾鷲まで販路を拡げた。「いいものを売る」が初代から現在の5代目まで受け継がれている綿七のモットーである。

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大正12年(1923年)からは製綿業とふとんの仕立ても始め、七六が2代目の三郎に代を継承したのは昭和3年(1928年)。しかし、昭和16年(1941年)には第二次世界大戦が勃発し、綿の入手が難しくなった。そんな中、三郎に召集令状が届き、昭和19年(1944年)に戦死した。

その後、昭和20年(1945年)に3代目の勇男が綿七を継承する。しかし、終戦直後のため綿が手に入らず、別の事業で生計を立てる他なかった。その後、高度経済成長に伴い昭和30年頃からはふとん屋の活気が戻り、ふとん販売を再開しこの頃から製綿の卸も始める。

昭和34年(1959年)、未曾有の伊勢湾台風が愛知県を直撃し、5000人以上もの死者や行方不明者が出た。また、壊滅的な浸水被害により、多くの世帯は布団類が使えない状況となる。この時、勇男は愛知県の綿寝具組合の理事として地元復旧のために奔走し、不足がちな原綿を集めては被災者用の布団を作り提供した。

勇男は先代から受け継いだ「質にこだわりを持つ」という信念を大切にしており、家族には質の良い温かいふとんを試させ自ら寝心地の良さの追求をし「干すと膨らむ上質な布団作り」をモットーに職人としての技術を磨いた。勇男もまた父・七六と同様に先見の明があり、当時、キルティングミシンをいち早く導入し、婚礼用の綿布団や親孝行布団など綿七のふとんは好評であった。しかし、勇男は「仕立て屋になるんじゃない」が口癖で、自ら店頭に立ち、商いを通して質の良い布団をお客様へ提供することを次の世代へ受け継いでもらいたいという願いがあった。

4代目は長女の婿養子・謙伊智が4代目を継承し、昭和57年(1982年)に法人化し「有限会社綿七」となった。時代はバブル経済の真只中、多くの働き盛りの若者たちの生活は欧米化し生活が豊かになるにつれ、ストレス社会という言葉が世の中を象徴するようになる。謙伊智は、この激動の時代の変化の中、「質の良い睡眠をより多くの人へ届けたい」という強い願いがあった。そのため高品質でデザイン性に富み、眠りの科学的な研究に取り組む老舗・東京西川(現・西川)のチェーンに加入。その後は地域に質の良い睡眠を届ける寝具専門店として認められ、平成16年(2004年)には全国で数社しか選ばれない東京西川チェーン最高の賞「西川賞」を受賞し、これまでに11回受賞をしている。

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