江戸時代、東海道「池鯉鮒宿」から東へ。ぐっと安城に近い街道沿いに一軒の茶屋があった。仲蔵茶屋と呼ばれて、旅人がここでひと休みして、岡崎宿へ向かったであろう。
やがて、この茶屋は姿を変え、菓子屋と八百屋を一緒に営むことになる。両方に入り口があったので、「両口屋」と呼ぶようになったという。
その菓子屋が独立して、今の両口屋本舗になる。初代は清水仲蔵さん。三代目の
伝統の技は守るが、新しい機械は取り入れる。季節感のある新商品も出している。その一つ、一、二月の寒い時期に甘味がつよくなる露地栽培のいちごを探して仕入れる。これを羽二重餅で巻いて作った「いちご餅」は、時期になると、柏餅同様、市外からお客が訪れる。年配者はもちろん、若い人や子供も喜んでくれるという。
季節ごとの生菓子は十五から十八種。秋は生栗から炊いて作る栗菓子は栗きんとんなど、三、四種。つぶ餡の和風パイ・在原の月、かきつばた(ブッセ)、豆乳まんじゅうも安定した人気商品である。
「店を大きくするより、長く守っていくことが大切。そのためにも、長年喜んでいただける新しいお菓子を考えていきたい」と正吉さんは意欲のほどを語ってくれた。
※この記事は2011年10月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。