創業100年になるという吉良町吉田の和菓子店、大吉屋。開業の頃は、当時の吉良吉田駅前に位置していたこともあり、お菓子のほかに、古着、金融業など他業種も同時に営んでいたという。
やがて、駅は南に移り、店は国道247号沿いになるが、本町商店街として栄える。三代目加藤章治さんの代になると、和菓子専門店となる。いがまんじゅう、餅菓子、みたらしなどのおやつ菓子を中心に販売した。
子供の頃から店へ
現店主で四代目になる加藤道明さんは、子供の頃から父の手伝いをした。作り方も自然に見て覚えた。父がきびしかったのは、お客への接し方。「子供でも、挨拶をしっかりとしなさい」と強く言われた。
加藤さんは大学に入りエンジニアを目指すが、「やはり、家業を継ごう」と決意する。「やるからには、本格的にやりたい」と、名古屋の和菓子店に三年間住み込みで修業を積んだ。失敗をしながらも見て覚えた。この修業先で特にきびしかったのは商品開発。新しい和菓子づくりに必要なものは何か。わずかな味の差にも気を配らないと、売れるお菓子にならない。
店に帰った加藤さんは、修業で培ったものを基本に、あくまで地域に根ざした味のお菓子をと工夫を凝らした。
食べるのが好きだから
例えば、今人気の「西尾茶日本一」(1個125円)は、抹茶味の餡を抹茶入りカステラで包んだ。お菓子全体に抹茶の香ばしさ、なめらかさがゆきわたる。抹茶の使い方はむずかしい。抹茶を強調してしまうと、かえって食べてもらえない。「すんなり食べられるように全体にソフトな感じにしました」と加藤さん。幡豆産いちごを使った「いちご大福」(185円)は羽二重餅のような柔らかい皮でいちごをくるみ、女性に喜ばれている。「自分が食べるのが好きだから、食べて、食べて考えます」と笑う。
和洋コラボのお菓子も
16年前に西尾市にも出店。現在の店に移って5年になる。
最近ではアイデア豊かな洋菓子とのコラボも。「ちょこようかん」はその中の逸品。バレンタインデイにと創作した。和洋の味が、自然にミックスされて独特の風味がある。ココアのほか、抹茶、柚子、梅などもある。
一番大切にしていることは「素材の良さを生かすこと。その良さがすんなりと出る風味、甘さを作り出すのが私の仕事です」と結んだ。
※この記事は2012年04月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。