日常を離れて、自分と向きあい、心の眼を開く。
碧南市にある油が淵、その湖畔にある花しょうぶ園、隣接して蓮如ゆかりの応仁寺も建つ。ここから西へ690mの小径は「碧南市哲学たいけん村無我苑」につづく「哲学の小径」である。(平成16年に整備)
哲学たいけん村無我苑(以下、無我苑)は、「無我愛」を提唱し、仏教はもとよりキリスト教、西洋哲学など、幅広い研究と思索を続けた哲学者、伊藤証信の研修道場「無我苑」のあったところ。遺族から寄贈を受けたのを契機に、碧南市が1992年、全国的にも例のない精神文化育成の場として、新たに建設した。名誉村長には愛知県出身の哲学者、梅原猛氏を迎えた。
精神性の深い茶の湯
展示ギャラリーや瞑想室などのあるユニークな「瞑想回廊」、市民の集会や茶道の研修にも利用できる「研修道場・安吾館」、そして「市民茶室・涛々庵」がある。
茶の湯は山居の主人が親しい友を招き、心をこめてもてなす「遊び」、茶室は主人の住いであり、山居の趣きを深めるために露地という庭がつくられる。精神性の深い茶の湯であるが故に、この哲学たいけん村に、茶室・涛々庵が設けられた。
涛々庵は、玄関・広間棟(10畳・6畳)と小間棟(4畳台目中板入)があり、廊下で結ばれている。小間は草庵風の茶室で、四畳敷に上座床を構え、二方に深い土間庇をめぐらしている。他にも室内は特色ある間取りが施されている。
さらに、全国的にも珍しい露地囲いがあるのも、ここの大きな特色である。京都工芸繊維大学名誉教授の中村昌生氏が設計した。
茶室の南へ内露地がつくられ、内腰掛と砂雪隠が設けられている。その向うが外露地で、高い塀で囲まれた珍しい構えになっている。このような外露地は古田織部と弟子の上田宗箇が試みていたことが知られている。
茶会に招かれた客は、この腰掛に集う。これから始まる茶会に臨むための心を整える空間である。ふだんも見学できるので、ぜひ訪れてみたい。
月一回市民茶会楽しむ
涛々庵では、毎月第4日曜日(10:00〜15:00、立礼茶席は16:00まで)茶会が開かれており、一般市民、家族づれが茶を楽しむ。(一服400円)また、安吾館の立礼茶席でも来村者に抹茶(お菓子付250円)を出ししてくれる。
無我苑では毎年、名誉村長である梅原猛氏の講演もあり、哲学講座や茶の湯文化講座、展示会なども開かれている。
※この記事は2011年01月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。