吉良公毎歳忌に上杉家17代当主である上杉邦憲氏が初参列


 吉良家と上杉家は、深い絆で結ばれた歴史的背景がある。両家は、江戸時代にお家存続を図るため「三重の縁」という縁戚であった。
 第一の縁は、吉良義央と三姫(富子)の婚姻。第二の縁は、上杉綱勝の急死と吉良三之助の上杉家存続。第三の縁は、上杉春千代(義周)の吉良家相続。その後もさらに深い絆は続き、近年では東日本大震災の折に、旧吉良町及び町民が多額の義援金で応援するなど、三重の縁以外にも助け合い支え合いは両地域の間では数えきれないほどあったという。
 このような経緯により、旧吉良町と米沢市は、首長同士の表敬訪問や市民レベルでの祭の時など相互訪問し親交を深めてきた。平成20年には旧吉良町で開催された吉良公毎歳忌に上杉家17代当主である上杉邦憲氏が初参列した。


吉良・米沢親善交流盟約の調印式


 平成22年9月、民間交流を一層推進するために、旧吉良町の吉良公史跡保存会・東域吉良顕彰会・富子会・富好新田の4つの団体が中心となっている「吉良・米沢親善交流会」と、米沢市の上杉家の家臣らや歴史団体による「米沢・上杉吉良温故交流会」との間で「吉良・米沢親善交流盟約」が締結された。盟約書は華蔵寺本堂に公開展示されている。民間同士での調印だった。
 西尾市は、平成23年に合併した旧吉良町の意志を引き継ぎ、民間同士の交流の他に両市の物産展やイベント参加などの相互交流を推進してきた。民間交流が活発化し、平成25年6月には、米沢市と大規模災害時相互応援協定を締結するに至り、そして同年8月、市議会の承認を得て西尾市市制60周年の式典にて「米沢市・西尾市友交提携」の調印式が行われた。
 江戸時代、吉良家と上杉家の縁から始まった友好関係。その心と心の支え合いが現在まで連綿と続いている。この素晴らしい交流にエールを送りたい。


吉良ワイキキビーチで開催されるハワイアンフェスティバルに米沢市のチームが毎年参加している

米沢市の上杉雪灯籠まつりにて交流


取材協力・写真提供
吉良・米沢親善交流会会長 颯田洪氏