佐久島八十八ヶ所巡りが復活します。
弘法大師(法名:空海)は、平安時代初期(774年)に生まれ、日本に真言密教を伝えた真言宗の開祖です。故郷の四国で山岳修行をした霊跡は、江戸時代に札番号を付けてまとめられ、「四国八十八ヶ所」の霊場巡りとして現在も多くの信仰を集めています。
本土から多くの巡礼者が訪れた
大正2年、弘法大師高野山開創1100年の記念行事が各地で行われ、佐久島でもこの祝典を記念して島内に八十八ヶ所霊場を作ろうという運動がもちあがり、大師像88体が安置されました。戦前には、本土から弘法巡りの巡礼者たちが多く訪れ、阿弥陀寺の宿坊に滞在して、にぎやかに島を巡ったと伝えられています。
一つひとつの祠(大師像)は佐久島の家庭で大切に守られてきました。しかし、過疎と高齢化の波は祠にも押し寄せました。島を出ていった家、祠の場所が山道にあり山に通えなくなったお年寄り。八十八ヶ所あった祠も手入れが行き届かず、五十数ヶ所となりました。
失われた祠を復活
佐久島弘法プロジェクトは2010年から3ヶ年計画で、失われた祠を建築の力を借りてよみがえらせました。2010年に「みかんぐみ」による4つの祠、2011年には「小川次郎」「長岡勉」により2つ祠が復活。2012年には建築を学ぶ学生達により9つの祠がリノベーションされました。失われた弘法大師座像も2人のアーティスト「ふるかはひでたか」「松岡徹」が制作し、八十八ヶ所巡りの復活が完了しました。
弘法祭りではお接待も
新旧入り混じった祠が建つ佐久島弘法道は、佐久島の歴史、島民の風習をたどる新たな散策道です。旧暦3月21日(今年は4月11日)の弘法祭りでは、島中の祠に美しい花が飾られる「お接待」と呼ばれるふるまいがあり、当時のにぎやかさを偲ぶことができます。
佐久島弘法巡りのお供には、スタンプシートを島の渡船場、弁天サロンに用意してあります。足もとに気をつけてお巡りください。
太田由紀子(西尾市佐久島振興課)
※この記事は2012年04月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。