綾渡の夜念仏

綾渡の夜念仏

綾渡には標高約500mの高原地帯にお寺を入れて26軒、人口は76名が住んでいる。香嵐渓から東へ約7㎞登ったところに位置する。綾渡に伝わる盆の行事がある。綾渡の夜念仏と盆踊りだ。


綾渡の風景

綾渡の風景

毎年8月10日と15日の盆の夜に、地域の人々が行列を作って歩きながら所定の位置で立ち止まって鉦を打ち、先祖の冥福を祈り念仏を唱和する夜念仏と三味線や太鼓などの楽器を使わず音頭取りが歌う歌に合わせて下駄の足拍子だけで手踊りを踊る盆踊である。綾渡の夜念仏と盆踊の起源ははっきりしないが、江戸時代(1603~1868年)に始まったと考えられている。かつては綾渡地区だけではなく串原村や山岡町でも行われていた。そのため、夜念仏が途絶えた年に建てられたといわれている〝夜念仏供養塔〟が旭地区で多く見られる。


綾渡の盆踊り

綾渡の盆踊り


現在は綾渡でのみ継承されている。これを継承するために昭和36年(1961)設立されたのが現在26軒の綾渡地区住民たちで結成されている夜念仏と盆踊保存会である。オブザーバー的な役割を担うのは綾渡地区でたった一つのお寺、平勝寺のご住職佐藤一道さんだ。平成9年(1997)12月には国の重要無形民俗文化財に指定され、令和4年(2022)にはユネスコ無形文化遺産として登録された。これは愛知県内で唯一の登録である。「現代社会の急激な変貌により民間伝承が絶滅の危機に瀕している。よって必ず保存、継承しなければならない」と佐藤一道さんと綾渡の夜念仏と盆踊保存会のメンバーは人々に広める活動を続けている。


所在地
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佐藤 一道(監修 平勝寺 住職)