華麗なる葉芸。江戸時代より続く日本古来の伝統園芸。
慶長11年、徳川家康公が江戸に移られるのに先だって、その居城の新築を祝して、三河の国の長沢村の長嶋長兵衛という人が故事にならって三種の万年青を「天福の霊草」として献上された。家康公はこれをたいそう喜ばれて、千代田城に真っ先に持ち込まれ床の間に飾り入城したと伝えられている。
その後、徳川家が安泰であったことから、陰陽道で建築・転宅に「吉」であるといわれる「天福日」に、「天福の霊草」として万年青が用いられる風習が、大名、旗本など武家をはじめ全国の町民の間にまで広がり、現在もその名残りをとどめている。万年青は、家康公と関わりが深い日光東照宮の国宝指定社殿などのいたる所に彫り込まれている他、岡崎市の六所神社にも数カ所見ることができる。
万年青専門店である豊明園の創業は明治35年。今では西三河の専門店は、豊明園を含めて3ケ所のみとなる。1500坪の培養所を訪れると様々な品種の万年青が培養されていた。万年青を趣味として楽しむ人も多く、好みの品種を大切に育てて万年青名品展に出品するなど、楽しみ方も様々。三河エリアでは、毎年春と秋に公益社団法人日本万年青協会主催の名品展が岡崎農遊館にて開催されている。
ホームページに様々な万年青の品種や楽鉢が掲載されているので、見ているだけでも楽しめる。楽鉢は、お抹茶茶碗と同じ楽焼で、江戸時代から使われている絵柄が今も使われている。培養所はいつでも見学することができる。(要予約)
※この記事は2014年01月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。