樹木のすき間から聞こえる鶯の鳴き声が心地いい。緑の風がほほをなぜ、青い海と空が広がる。菜園にはトマト、ナス、カボチャなどの野菜が息づいている。
ここは佐久島クラインガルテン。離島では全国初という宿泊滞在型農業体験施設、スローライフ提供の施設でもある。西尾市佐久島に今年4月1日オープンした。
管理棟。棟内も広く、くつろげる。管理人が常駐し、お世話をしてくれる。
長野、奈良からの利用者も
佐久島は昭和20年代には1600人余の人々が住んでいた。現在は275人(平成24年6月1日現在)。65歳以上の高齢者が約半数を占めている。よって、定住人口・交流人口の増加や遊休農地の活用で、島の活性化をと、旧一色町が計画、平成23年4月の合併により、新西尾市に事業が引き継がれた。
島の西港から歩いて10分くらい。緑の木立ちに囲まれるように10棟のラウべが並ぶ。木造2階建て(53㎡)で、すぐ前には菜園(約70㎡)がある。管理棟とバーベキュー広場、多目的交流広場もある。利用者を募集したところ、東京や大阪からも応募があり、110件に。抽選で10組が決まった。愛知県が7組と多かったが、長野県、奈良県の人も。年間48万円(水道・光熱費別途)で、最長5年まで利用できる。
鶯の鳴き声で目覚める
利用者は土・日曜に訪れる人が多いが、平日も退職した高齢の人たちの姿が見られる。30代、40代の夫婦は、その両親、子供など、家族で日程を組んで利用している。
長野県伊那市から月2回(5日間滞在)は訪れるという池上まゆみさんは、「青い海と暖かい土地に憧れていた」と語り、鶯の声に目覚め、自然の音色と恵みを満喫しているそうだ。施設の北にある白山社へのウオーキングも楽しんだ。椿の並木道もあり、弘法さんの祠が並ぶ。同じ施設の人たちとも親しくおしゃべり。「地元の漁師さんが大きなイカを売りにきた。早速買って、おいしくいただきました」。地元の人との交流も楽しみという。名古屋は近いので、毎週訪れるという舩戸紀子さん。「子供や夫、父母たちと楽しく利用しています」と、笑顔で話してくれた。
弘法お遍路、アート体験、黒壁集落などに加え、佐久島の魅力がまた一つ加わった。(バーベキュー広場は一般も利用できる。
※この記事は2012年07月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。