安城市が環境首都になるために活動している環境戦隊サルビアン。


 今や地球環境問題は深刻化し、加えて経済の不安定化や社会的格差が広がっている。そのために、個々の努力はもちろんだが、社会のシステムを「地域」から変えていくことが求められている。
 全国13の環境NGOでつくる「環境首都コンテスト全国ネットワーク」では、2001年から「日本の環境首都コンテスト」を実施。その中で、多くの先進事例を見い出し、各都市の取り組みを促進、相互交流を深めている。
 安城市では、このコンテストに2002年以降連続参加。2008年度には、総合第4位(全国参加67自治体中)、人口規模別(10万人以上~30万人未満)では第2位(参加23自治体中)に、人口規模別の地球温暖化防止部門では第1位に入った。
 昨年11月には環境首都をめざす自治体の「全国フォーラムin安城」が三河安城シティホテルで開かれた。ここでも先進事例として評価されているESD(持続可能な開発のための教育)の職員向け連続ワークショップについて、安城市経済環境部環境首都推進課の担当者から報告がなされている。


環境首都をめざす自治体の「全国フォーラムin安城」で。

 安城市では2005年からの第7次総合計画で、「市民とともに育む環境首都・安城」の実現に向ってスタート。3つのプロジェクトを立ち上げた。
①「環境実践活動を進める人づくり」では、環境教育の学習のガイドラインを策定。環境アドバイザーを育成し、小学校や地域に派遣している。また、10回にわたって「あんじょう環境大学院」を開講。専門講師による講演とともに山田副市長と講師を交えたディスカッションも行われた。さらに、ごみ減量推進委員会を設置。ごみ分別ソムリエを育成し、「ごみ減量20%」を推進。同時に「電力ダイエット30%」にも取り組む。省エネナビを269世帯に配布し、時間単位の電力量の使い方を調査し、対応策を練っている。
 環境への負荷を考えたグリーン購入、リフューズ(拒否)・リデュース(ごみの発生抑制)・リユース(再使用)・リサイクル(再生利用)の4R運動、環境家計簿やエコクッキングのすすめなど、幅広く推進している。


矢作川水源の森での分収育林活動。

②「水環境の再生と杜づくり」では、油ヶ淵の水質浄化、生活排水対策モデル事業、矢作川水源の森(長野県根羽村)での分収育林活動、名鉄桜井駅周辺のみどりと共生し続けるまちづくり「みどり香るサステナブルタウン桜井」も推進している。また、環境保全型農業への取り組みも始まった。
③「健康的で環境にやさしい交通環境づくり」では、2008年から「エコサイクルシティ」の実現へと走行中だ。健康的で経済性に優れた自転車の再認識、再活用である。自転車を都市交通手段の一つとして、位置づける。明治用水緑道の整備と活用をはじめ、歩行者と共存できる通行区分、段差解消も進める。鉄道やバスと自転車との連携の強化、レンタサイクル事業の拡充も。
 一昨年、102人に1ヵ月間、自転車通勤をしてもらった結果、2,368ℓのガソリンが節約できた。これはドラム缶約12本。5,526㎏のCO2が排出されなかったことになる。
 移動手段としての自転車利用割合は、2006年19%から、2010年には24%、2014年には30%を目標として取り組んでいる。その成果に期待が高まる。
 自治体環境施策のあり方は、住民一人ひとりの生活に直結している。だからこそ、一人ひとりの参加意識が問われることになる。