毎年2月の第2日曜日に行われる〝鳥羽の火祭り〟。国の重要無形民俗文化財で今から約1200年前の平安時代、大同年間(806〜809)から始まったとされており、古社〝鳥羽神明社〟で行われている。
祭りは竹や茅などを使った大松明〝すずみ〟を〝福地〟と〝乾地〟それぞれ1基ずつ作り、すずみの燃え具合によって一年の天候や豊凶を占う祭りだ。
午後7時半より拝殿にて神事を行い、午後8時頃に16尺(約5m)もの〝すずみ〟の上部に点火。またたく間に燃え上がり、天空を真っ赤に染める。そして〝福地〟と〝乾地〟2人の神男を中心に古い幟(のぼり)で作った胴着と頭巾で身を包んだ奉仕者(通称〝ネコ〟)たちが頭から水をかぶり、〝すずみ〟に飛び込み、中にある神木と十二縄を競って取り出し御神前に供える。
この祭りを守り支えてきたのが「鳥羽火祭り保存会」。約50名の役員と鳥羽神明社の氏子(鳥羽地区在住者)がこの祭りの保存と継承を担っている。保存会は昭和初期には氏子有志で結成されていたと推測されるが、現在の組織としては平成15年10月18日に設立され、今年で21年目を迎える。
現在の継承問題について現会長の大西さんはこう話す。「若い世代がお宮に関ることが少なくなった。もっと鳥羽の火祭りに誇りを持ち、若い頃から興味が持てるような仕組みをつくりたい」。この想いから地元の子どもたちだけで担ぐ神輿や学校の授業で火祭りの魅力を発信したりしている。〝年齢に関係なく集まれる場づくり〟と〝若い人が興味を持てる仕組みづくり〟。これはどの地域でも伝承のキーワードとなっている。
※この記事は2024年01月01日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。