アサギマダラは、独特の優美な飛び方をする、なんとも美しい大型の蝶だが、最大の魅力はその行動にある。長距離の「渡り」をする蝶として日本で唯一知られている。小さな体で海を超え、国境を超え、最長2,000キロもの旅をする。
初めて長距離移動が確認されたのは1981年のこと。鹿児島種子島から飛びたった蝶が、なんと福島県と三重県で確認された。このような長距離移動の謎を解明するためには根気よくデータを積み上げていくしかない。その方法が「マーキング」だ。
愛知県では「愛知アサギマダラの会」が2003年に発足された。以前からマーキング調査は行われていたが、調査報告を兼ねて集まったのがはじまりだという。
愛知県内のマーキングスポットで知られているのが西尾市の「三ケ根山」。成虫が蜜を吸う花が多く、海岸近くで豊かな緑がある三ケ根山頂付近には、9月下旬から10月頃に渡りの中継地として飛来する。この時期に、西尾市が主催する秋色フェスティバルの一環としてマーキング大会が毎年開催されている。一般の方、初めての方の参加も多く、親子参加の方たちは大喜び!自然が大好きという共感を通して人と人がつながっていくのもマーキング大会の魅力だ。昨年はここで3,000頭以上がマーキングされ、多い年は1万頭を超えたという。
自分がマーキングした蝶が遥か遠くで確認されることも感動ひとしおだが、それだけに止まらない。この活動を続けることにより、自然と触れ合い、素晴らしい自然環境を継承していこうという気持ちが生まれてくる。
※この記事は2015年10月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。