岡崎市滝町に所在する瀧山寺では毎年2月に鬼祭りが行われる。瀧山寺鬼祭りは鬼が福をもたらし三河路に春を告げるお祭りとしてここ三河で深く愛されてきた。
鬼祭りの始まりは鎌倉時代に行われた源頼朝の祈願と言われている。その後戦国時代に庇護者を得ることができず鬼祭りは一度途絶えてしまうが、江戸幕府三代将軍徳川家光の時代になると滝村内に瀧山東照宮を建立、天下泰平や五穀豊穣を祈る法会がここで行われ、七日の結願の日に鬼祭りが復活した。明治時代に入ると廃仏毀釈が起こったことで鬼祭りが中止となり15年の歳月が流れる。再び復活したのは常磐村大字滝の住民たちが鬼祭りの再興を企図したことであった。
その後、地元滝町と滝町民全体で結成された瀧山寺鬼祭り保存会に引き継がれ現在に至る。鬼祭りの構成は大松明・十二人衆(若い衆・棒突・大役・十二人衆・若徒・御前・僧侶・冠面者)の登山行列から始まり、十二人衆の接待と仏前法要、御礼振りのあと鬼塚供養と豆まきが行われ、庭祭りのあと火祭りとなる。火祭りでは祖父面と祖母面(厄年の者)、孫面(地元の小学生)の三面の鬼面を被って登場する。現在滝町には約430世帯が生活しており、文化財の保存と継承を担っている。ここでは、子どもから大人まで一丸となることで町を守り育てる精神が深く根付いているのだ。
※この記事は2023年10月01日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。