東海地方は「凧銀座」と呼ばれるほど古くから凧あげが盛んな地域だった。西三河から三重県地方の凧の特色は、複雑な構造の袖(風袋)を持つ凧が多い。安城市桜井町周辺で作られている桜井凧は、元禄年間(1688~1703)、名古屋から西端(現碧南市西端町)に伝えられたといわれる。構造が名古屋古流凧に似ているが、形態は複雑に、色彩は鮮やかに、独自に発展させている。専業または農家の農閑期の副業として製作され、室内装飾用としても珍重された。全国でも珍しい左右非対称の凧「天神」など、凝った形態のものが多く、全国的に知られている。
この伝統文化の灯火を消してはならない、そんな思いで平成15年1月に、安城まちづくり市民会議の有志が中心となり桜井凧保存会が創設された。その後、発足の趣旨に賛同した地元の方々の積極的な応援を受けて活動をしている。
「桜井凧に関わらせていただくなかで、地元の伝統・文化に触れることが、ふるさとを感じることにつながっていくと思っています。凧の糸が多くの皆様の夢を結ぶ赤い糸になればと思い、楽しい活動を創りあげていきたい」と語るのは、事務局長の都築氏。伝統文化を継承しながらイベントを通して全国の仲間との交流を広げている。
定期的な活動としては、凧作り教室(要予約)が月に2回、桜井公民館にて開催されている。また、安城凧揚げ大会や安城市民ギャラリーにて凧コンテストなど、子供も大人も楽しめるイベントを毎年開催している。桜井凧保存会会報も継続的に発刊されており、大会報告や凧の歴史、全国の凧情報などが掲載されている。
桜井凧保存会では会員を募集している。作ることはもちろん、教える、揚げる、飾る、交流する、調査する、スポーツとしてなど、凧には多くの楽しみ方がある。どの地域の方でも参加希望があれば歓迎してくれる。また、桜井凧が欲しいという方は事務局へ相談するといいだろう。
※この記事は2015年01月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。