35mの高さに、50mのアーチを描く乙川噴水。


夕日に映える乙川噴水。


 矢作川から分れ、岡崎城の南から、岡崎のまちを蛇行して、額田の山間にまで行きつく乙川。かつては岡崎のまちを川運で支え、その発展に大きな役割を果した乙川である。
 岡崎城をのぞむ乙川には、今年も春になると、高さ35mにまで上がる「乙川噴水」が姿を見せる。
 35mといえば、12階建てのビルと同じ高さになる。それを取り巻くように高さ20mにあがる噴水が6基。さらに左右150mmの大口径のノズルから中心に向う噴水は、直径50mの弧を描く。日本最大級の河川噴水である。
 この35mの噴水は竜が天にのぼる姿をイメージしており、左右から飛び出す水と上にあがる水がぶつかって飛び散る様子は、三河花火の大スターマインに見立てている。
 昭和62年3月20日、市制70周年記念事業として竣工された。一級河川に設けられた噴水としては日本で最初のものだった。平成元年7月には建設大臣から「手づくり郷土賞」を受賞した。
 噴水パターンは平日(月~金)=ミニイベントパターン/30分周期で4変化。土・日=イベントパターン/60分周期で12変化。原則として、5月下旬から9月下旬(9時~18時)に運転する。河川の水を噴き上げることにより、水中に酸素を取り入れ、微生物が水の汚れを分解する働きを活発にし、河川水質の浄化を図るという噴水効果もある。


岡崎桜まつりも


乙川は数々のイベントでにぎわう。「家康行列」の鉄砲隊の実習。

 4月1日から15日まで、岡崎公園やこの乙川河川緑地を中心に岡崎桜まつりが開かれる。1,700本のソメイヨシノなどが咲き誇り、毎年675,000人(夜間含む)の人々が訪れる。150店の屋台も並ぶ。夜桜の美しさは東海随一といわれる。


乙川には岡崎発展のルーツが


御用土場跡。「御城下船着場跡」の石碑と、花崗岩で作った帆掛船が建つ。

 江戸時代には300隻もの川船が矢作川を上り下りしていたという。乙川にも荷揚げや積荷をする土場(渡場)が4か所設けられた。城に近い御用土場では城の詰め米や領主の廻米などが運ばれた。川船は昭和初期に姿を消したが、岡崎発展のルーツが、この乙川にあったといえる。


所在地
岡崎市 乙川 Google Map