信州戸隠の老舗で“のれん分け”
西尾市民病院北の「仁王門屋 むらまつ」は、そば通の間で評判の店だ。平成10年秋に信州戸隠の老舗「仁王門屋」からのれん分けを受け、当地にオープンした。
「おいしいそばを食べさせる秘訣は?」とご主人に聞くと、「手を抜かないで基本に忠実であること」と、即座に答えてくれた。そば粉は信州戸隠から仕入れ、ご主人自らが厳選したもののみを使用する。材料の鮮度チェックも欠かせない。そばを練る水加減は気温や水温、湿度によって左右されるため、状態を確かめながら日々の微調節も大切だ。「でも、一番肝心なのは、ゆで加減」だそうだ。これはほとんど秒単位の仕事。その一瞬に、そばの命がかかるという。
ここの名物「仁王様そば」は、ボールほどもある大どんぶりに、ぜんまいや山くらげなどの山菜、とろろ、天ぷらなどがたっぷりのって、いかにも「信州そば」の風情。とろりとした温泉卵も、汁を濁さずそばに合う。また、一番人気の「天ざるそば」は、もっちりとしたソバのこしと、大エビ天のパリパリ感とのメリハリが見事。ダシのしっかりした甘辛のつけ汁は、どこか懐かしい味だ。食後にはぜひソバ湯を頂こう。これは温かなソバの茹で汁だが、溶け出たソバのエッセンスが体中を潤してくれる。(カウンター・テーブル21席、座敷2卓)
※この記事は2001年04月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。