手間ひまかけた石臼挽き。
のどごしのいい手挽きそばは、かまずに呑み込みたいほどだ。この店の石臼の手挽きは余分な熱を加えぬようにそばを粉にする。だから、香り、食感とも申し分なく、旨い。
あるじ鈴木晃司さんの父と額田町が、寒暖の差を利用して、この地方でそばの栽培に成功。そばの特産地になって久しい。父はうどん屋を営んでいたが、長年の勘と経験を生かし研究を重ね、極上のそばをあみ出した。
その父は6年前、弟と岡崎市堂前町に出店。本店は長男の晃司さんに受け継がれることになった。当時は父のまねでしかなかったが、厳しいお客の指摘にも育てられ、「ようやく自分色のそばが打てるようになった」と謙遜する。
そばは地元産に北海道産も加わる。石ぬき機で石や土を取り除き、みがき機にかけ、再度機械と人の目で確認する。脱皮機にかけ、人の手でもそば殻を取り、花粉を落とす。
手間ひまをかけたそば粉も、その日の気温に左右され、水加減も違う。つなぎは二割のうどん粉。二・八そばが一番食べよいとあるじは語る。
そばつゆは本節とソウダカツオの出し。かえしには和三盆を使う、こだわり。この奥深いつゆに、手挽きそばでは、遠くとも足を運びたくなる。
※この記事は2005年07月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。