天然もの、生もの、釣りものにこだわる。
刈谷市役所北、東陽町の信号近くに風流な店構えが目を引く。建築デザイン部門で金賞、食品衛生面で厚生大臣賞を受けた評判の寿司店だ。
主玄関から入ると裏玄関まで抜ける路地空間が、まるで京都のまちを歩くようだ。観世の間、吉兆の間、式部の間などの小部屋もあり、季節ごとの祭り飾りが、心を和ませてくれる。
女将は毎日、香をたて、打ち水をし、灯をともして、お客を迎える。「おいしいものを食べていただきたいから」と細やかに気を配る。
ご主人は天然もの、生ものを求めて毎朝名古屋へ仕入れに。穴子は若松、うに、しゃこは坂手島。さばは釣りものに限る…と仙台の教えを頑にまもりつづける職人気質の料理人だ。
昼の人気は並ちらし。ごはんが大盛りでも値段は同じで1,000円。特に男性客に好評だ。上ちらし(2300円)になると、具とごはんが別で二段重に。
美しく盛られた寿司はどれも旨いのだが、中でもあなごの香ばしさには舌が踊る。あなごの頭や骨を毎日加えて煮詰めたタレが絶妙の味を生む。魚のすり身入りの卵焼きもいい味だ。
※この記事は2002年10月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。