「鯛めし」のやさしい食感。
打ち水された玄関前を通り店内に入ると、お香の淡い香りが心地よく漂う。
店主の鈴木雅之さん(63歳)は一色屋の4代目。先祖は三河武士だった。江戸末期、鈴木家を絶やさぬため、一色より養子を迎えた。明治10年代に、料理の心得のある養子鈴木力松が一色屋の屋号で旧東海道沿いに、鰻・仕出し屋を始めて、130年程になる。当時は矢作川、乙川で天然の鰻が獲れ、岡崎は多くのうなぎ屋が繁昌していた。その頃の鰻のタレが今も引き継がれているという。
鈴木さんは名古屋の老舗料亭で長きにわたり修業。日本料理の奥義を極めた腕の持ち主だ。先代から受け継ぎ当地に新築移転して23年。うわさの「鯛めし」は、三河湾や伊勢湾で獲れた天然の鯛を三枚におろし、調味料を加えて炊く。すり鉢でほぐしてから鍋に移し、から入り。そぼろ状に仕上げるまで一日がかり。その「鯛めし」のふわっとやさしい食感は、年齢を問わずトリコにされてしまう。「お客様の美味しかったの一言で、どんな疲れも取れます」と目を細めた。
ランチは「鯛めし定食」(1470円)ほか「松花堂定食」(1680円)なども。旬の素材を贅沢にいただく「京風野立弁当」(2625円)や歴史ある秘伝のタレで味わう「鰻ひつまぶし」(2415円)も見逃せない。3月までは「ふぐ料理」(6300円~)、「すっぽん料理」(6300円)など(2名よりの予約制)も賞味できる。
特別ルートで仕入れた各地の吟醸酒、大吟醸古酒、三重県最古の麦焼酎などなど、80種以上の銘酒が出番を待っている。80席。
※この記事は2011年01月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。