噛むほどに小麦のうま味が。

 「食」というのは不思議なものだ。新聞のコラムにこんな話があった。どこかの小規模学校の給食でカッターを導入したところ、調理員は労力削減と喜んだが、子どもたちの情緒が不安定になり包丁に戻した、と。食事は体を養うものだが、元気を養う素は、「手間ひま」という名の調味料なのかもしれない。
 そんなことを考えながらダーシェンカのドアを押すと、パンの芳ばしい香りが漂う。赤レンガを積んだ石窯から、出来上がったばかりのパンが顔をのぞかせていた。まるでヘンゼルとグレーテル、はたまた魔女の宅急便の世界だ。
 自家製の天然酵母菌から発酵させたタネを、じっくりと薪の余熱で焼く大昔からの製法そのまま。素材も低農薬国産、有機栽培にこだわる。量産はできようはずもなく、一つ一つが丁寧に作り出されていく。焼き立てのダーシェンカ(店と同名の大型のパン)を一口頬ばってみた。皮はパリパリ、中はもっちりの理想的な焼き上がりだ。バターや卵が入っていないから、噛むほどに小麦のうま味が伝わり、しだいに口の中でクルミやレーズンのほんのりとした甘味と溶け合っていく。飲み込むのがちょっと惜しい感じだ。
 自分でパンを焼きたくなった人には、石窯のパン教室も開かれている。職人の技を体で知れば、「食」の奥の深さも味わうことができるだろう。


石窯パン ダーシェンカ

所在地
額田郡幸田町大字菱池字桜塚174 Google Map
電話番号
0564-63-3273
定休日
月・火曜定休
営業時間
9:00〜18:30
(予約が確実・まとまれば配達もOK)
駐車場
あり
ウェブサイト
http://ishigamapan.jp/
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