戦国時代に原型が形成されたとされる足助の町並みは、安永4年(1775)の大火直後から防火に備えた造りで再建され、今もその家並みが2kmに渡って続く。平成23年に愛知県で初めて「重伝建」に選定された、風情ある町を歩いてみた。
1.「重伝建」のまちを散策
足助は尾張・三河~信州を結ぶ伊那街道(中馬街道)の中継地で、交通の要所として栄えた商家町だ。江戸時代後期から明治末までに建てられた建物や、伝統的な町家の形式を踏襲する大正以降の建物など、歴史的価値の高い建造物が多く、この町並みを保存するため、重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)として国に選定された。
2.散策スタート
豊田市役所足助支所の前に掲げられた案内板で町の全体像を見る。ここは紅葉で有名な香嵐渓の入口。国道の北側に旧足助の町並みが広がっている。巴橋を越え、いよいよ散策スタート。すぐに昔懐かしい家並みが現れた。「あ、野菜売ってるよ」「ほんとだ」町並み活性化施設として整備された塩の道づれ家(明治中期)の前で、思わず立ち止まる。
3.川沿いの石垣と家並みは必見
中橋から眺める足助川沿いの風景は、風情たっぷり。川岸に石垣を築き、川にせり出すようにして座敷などが造られている。中橋の手前にある足助商工会の建物は、かつて警察署として使用されていた。中橋を渡り、伊那街道を東へと進む。
4.街道沿いは見どころいっぱい
江戸時代には大商人が集まっていた本町かいわい。早春は「中馬のおひなさん」で大にぎわいとなるこの通りには、国指定重要文化財・旧鈴木家住宅(現在修理中 ※本誌P3で紹介)をはじめ、深見家住宅、旧田口家住宅、大田家住(三嶋館)、加東家など、江戸末期ごろの家々が軒を連ねる。防火を意識した漆喰塗り2階建て、瓦ぶきで急勾配屋根の家が多い。平入(通りに対して屋根の棟が並行な「平入」と、垂直な「妻入」の町家が混在し、変化のある町並みになっているのが特徴だ。
5. 路地も楽しい
街道脇の小路に一歩入ると、雰囲気が全く違って面白い。モノトーンのコントラストが素敵なマンリン小路。その隣の書店はちょっとユニーク。土びなや懐かしいグッズも置かれていて、不思議な雰囲気だ。
6. 他にも発見いろいろ
他にも面白いスポットがいろいろ。本町の東に位置する田町も古くからの町で、この辺りにはいろいろなお店が軒を連ねている。「火鉢で温まってね」と声をかけてくれたお茶屋さんもあった。気になるお店があれば覗いてみよう。中馬のおひなさんの拠点ともなる足助中馬館もこのエリアにある。大正元年に旧稲橋銀行足助支店として建てられた建物で、現在は資料館として利用されている。また町の最西部には馬頭観音と芭蕉句碑があるし、西町や本町の北側には大火以前の姿を残す慶安寺や普光寺などのお寺も。歴史散策を堪能しよう! レトロ看板を見つけたり、可愛い看板ネコに出会えたり、意外な出会いと発見もある楽しいお散歩コースだ。
※この記事は2020年01月01日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。