明治の米津羊羹本舗。手前に米津橋の欄干が見える。


「懐かしい味」「変わらない美味しさ」と今も西尾近郊はもとより、知多地区から訪れる人もいる。「米津羊羹」は明治元年(1868年)の創業。今年で145年になる。
 初代の米津松蔵さんは、江戸末期に江戸の米津風月堂で修業。明治維新に帰郷し、当時盛んだった矢作川の川船が着く米津渡場に茶店を開いた。亀の甲せんべいが評判だった。川船の船頭さんや米津橋を通る人たちが一服して、店は繁盛した。
 二代目の與市さんは、煉り羊羹の手法を学び、研究して、今の米津羊羹を完成させた。その品質と味は当時も高く評価され、帝国菓子飴共進会で一等賞金牌を受賞(大正3年)など、各賞を受賞している。
 原材料の流通にも恵まれ、天草、小豆、砂糖などが川船で届く。碧南、安城、西尾中心地への街道の接点にあり、地の利もあった。知多半島の半田地方にも川船で運ばれ、「米津羊羹を食べると病気が治る」と言われる程に、その名は広まった。


手づくりのおいしさを


 昭和20年の三河大地震で、米津家は兄姉数人を亡くしたため、早々にして三夫さんが四代目を継ぐことになった。昭和30年代には新店舗を造り、同59年には現在の赤レンガの建物に新装した。
 現店主の眞一さん(44歳)は、大学卒後、津市の老舗店で修業。結婚して父とともに働く。今は五代目として代々の味を受け継ぐ。
 「変わらぬ味を忠実に守っていきたい」と語る。最高の原料を用い、代々からの製法で、「手づくりのおいしさを伝えたい」と。米津橋と川船の描かれた包装紙も昔のままだ。


米津羊羹店舗(現在)。


変わらない味、米津羊羹。包装紙も変わらない。

店内で。店主・米津眞一さん


矢作川に架かる米津橋を渡ると、赤いレンガ造りの店舗がある。


当主の曾祖父が生存中に製造した亀の甲せんべいを保存した壺(左)と明治から昭和にかけて使用した銭箱。

一等賞金牌の賞状 (大正3年)




羊羹にこだわる

 米津羊羹(中)500円(賞味期限20日)、米津羊羹(大)950円(同14日間)。ほかに、黒糖羊羹、抹茶羊羹は950円、栗羊羹1200円(同3品とも14日間)。羊羹に徹した店である。
 西尾市の道の駅にしお岡ノ山、西尾駅売店、安城市のデンパークガーデンプレイス、碧南市のイクタフード本店ほかでも販売している。


米津羊羹本舗

所在地
西尾市米津町仲之畑56 Google Map
電話番号
0563-57-2842