昭和初期の写真

昭和初期の写真

安城市に日本で最も古い煉瓦製造所が存在する。平成18年(2006)までは渋沢栄一も創業に関わる日本煉瓦製造株式会社が日本最古であったが、幕を閉じたことから『岡田煉瓦製造所』が日本最古となった。

始まりは明治27年(1894)頃、安城南部に位置する根崎村(今の根崎町)は良質な粘土がとれ、瓦の産地であったことに目をつけ、2代目の岡田松太郎の代でまずは焼成させない白地煉瓦の製造からスタートさせる。初代の岡田平六は造り酒屋として酒を造っており、二人にとって産業界化の明るい兆しを見出した新しい挑戦であった。


初代(岡田平六)

初代(岡田平六)


2代目(岡田松太郎)

2代目(岡田松太郎)


明治28年(1895)7月に『根崎煉化工場』を設立し、明治30年(1897)には地元の有志たちも資本参加し『根崎煉化合資会社』を設立。主な販売先は『日本陶器』(今のノリタケカンパニー)や橋脚及び鉄道トンネル建設用に日本車両、建築用に紡績工場、旧カブトビール工場半田赤レンガ建物など。半田赤レンガ建物の設計は横浜赤レンガ倉庫と同じ妻つまきよりなか木頼黄で、明治30年(1897)に着工して明治31年(1898)に竣工。当時の煉瓦の運び方は、近距離の場合は牛車または馬車で、遠方の場合は船を利用していた。窯から船着き場まではトロッコが使われ、トロッコのあとが今でも『岡田煉瓦製造所』に残っている。明治40年(1907)に松太郎が個人経営を始め『岡田煉瓦製造所』とする。


3代目岡田修治は受注をより効率的にするために電話を新川郵便局に申請、鷲塚経由で繋いだ。昭和初期になると日本陶器からの受注も増え、より良質な煉瓦が求められるように安城市に日本で最も古い煉瓦製造所が存在する。平成18年(2006)までは渋沢栄一も創業に関わる日本煉瓦製造株式会社が日本最古であったが、幕を閉じたことから『岡田煉瓦製造所』が日本最古となった。始まりは明治27年(1894)頃、安城南部に位置する根崎村(今の根崎町)は良質な粘土がとれ、瓦の産地であったことに目をつけ、2代目の岡田松太郎の代でまずは焼成させない白地煉瓦の製造からスタートさせる。初代の岡田平六は造り酒屋として酒を造っており、二人にとって産業界化の明るい兆しを見出した新しい挑戦であった。なったため、専用の別棟工場を建てて日本陶器株式会社納品製造部を作った。昭和8年(1933)には日本陶器の要望によりハンドプレス形成による品質の高い東京型特製赤煉瓦の製造を始めた。この製造にはかなり手間と労力がかかったため、機械成形を成功させようと、碧南の鈴木利一鉄工所から土練機(粘土を練る機械)とロール式形成機(粘土を成形させる機械)十馬力2台を購入し運転を開始する。昭和14年(1939)第二次世界大戦がはじまり厳しい状況に陥った。東海軍需管理部の指定工場となり製品の大半を軍に納入することになり『岡田煉瓦製造所』の社名が消滅したのだ。昭和19年(1944)には東南海地震が起こり建物は全部木造であったため約7割が崩壊して使用不可能になってしまう。さらに昭和20(1945)年1月にはマグニチュード7.1の三河地震がやってくる。さらに追い打ちをかけるように4代目である岡田纊太郎に赤紙召集となるが、昭和20年(1945)8月に終戦を迎え軍より戻り、ようやく『岡田煉瓦製造所』再起の時である。昭和22年(1947)に5代目となる岡田敏夫が誕生。大型土練成形機やロールクラッシャー、動力プレスなどを購入し、品質向上のために鈴木式真土練成形機も購入する。昭和47年(1972)に修治が死去、纊太郎が事業主となる。


明治40 年頃の工場

明治40 年頃の工場


そして昭和51年(1976)『株式会社岡田煉瓦製造所』設立へ。平成2年(1990)に愛知県常滑市窯業技術センター三河分場にてデザイン煉瓦の研究を開始する。平成9年(1997)に『岡田煉瓦製造所』は創業100周年を迎えた。

5代目岡田敏夫が代表取締役社長に就任。敏夫は100年史を作りたいという想いを密かに抱えていた。そんな中赤煉瓦好きが集まる会で金沢学院大学経営情報学部の助教授であった水野信太郎氏と出会い、100年史づくりが実現する。100年分の煉瓦の行く先を追っていくと、日本全国に『岡田煉瓦製造所』の煉瓦であるという印を見つけた。旧カブトビールの初期の建物に『岡田煉瓦製造所』の煉瓦が使われていたことは、この100年史を作った時に判明する。

そしてバトンは6代目の岡田信一へ渡された。信一には実現させたいことがある。キーワードは「令和スタンダード」。100年史を作った時、『岡田煉瓦製造所』で作ったものだとわかる印がそこにはあった。100年後に煉瓦を残すためには、ブランド化が必要であると考える。名前はまだ公表できないが敏夫の好きなJAZZと煉瓦を組み合わせている。煉瓦の良いところは色あせず経年とともに美しさが増す。高級感があり重厚感もあるが温かく、免震構造も随分と進んだ。昔は使いにくかった場所にも煉瓦は使いやすくなっている。煉瓦の道はまだまだ続く。


外観

外観


株式会社 岡田煉瓦製造所

所在地
安城市根崎町西根283 Google Map
電話番号
0566-92-0343
ウェブサイト
http://okada-renga.co.jp/