自然の恵みに季節の彩り
「京都の花町、先斗町のイメージを盛り込んで更地から建てました」と語る板長の羽田野さん。また、岡町界隈にはその昔、蔵が多かったことから蔵のイメージも盛り込まれている。
料理も京都らしい日本料理にこだわる。炉端で7年、本格日本料理店で延べ6年、日本料理一筋で修行を重ねて平成13年にオープンした。当時「どうしても多くの日本料理店は、店の内・外観も含めて本格的なお店が少なかった、ならば自分が」という思いがあったという。
格子戸を開けると雰囲気のある石畳の通路がある。心地よい暗さのなかにポツンポツンと優しい灯り。さらに入ると、板長の調理風景を目の前で見ることができる対面式のカウンター、お祝いごとや法事ができる大座敷、中庭を望む離れのお部屋(お部屋料1000円必要)。どの空間も素朴ななかに凛としたおもてなしの心を感じる。
さて、ご紹介するお料理は「半月弁当」。1週間は熟成させているというお造りは、コリコリ感が抜けて旨味・甘味が出ている。評判のいい炊き合わせは、板長自ら地元の農場で仕入れたものを使用。八寸もの(前菜)は、魚・肉・野菜などのすべてが入っていて季節の旬を少しずつ楽しめる。地元の魚マメダイの酢のもの、スズキのちり蒸し。出汁が香る薄めの味付けが、それぞれの素材の味をぐっと引き立てている。
「素材を殺さないこと、これに尽きます」という板長は「野菜は野菜の味、魚は魚の味、自分はそれ以上それ以下のことをしてはいけないと思っています」と、素材を大切にする思いを語ってくれた。また、「私の作る日本料理は、いわばお婆ちゃんが作るおばんざいです」という。
自然の恵みと季節の彩りを味わいに遠方の客も多いため、お昼は満席になる。できれば予約をお勧めしたい。また、お祝いごと、法事、会議、接待なども承っている。
※この記事は2016年01月10日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。