130年変わらない 名代「なめし田楽定食」を じっくりと味わう
八千代本店は、徳川家康の生誕の地、岡崎公園の中にある日本料理店。創業はなんと明治30年(1897)。130年以上も続く老舗である。
今では岡崎の名物にもなっている「なめし田楽」は、地元三河産大豆で作られた八丁味噌(使用はカクキュウ:合資会社八丁味噌)を使用している。
備長炭を使い香ばしく焼かれた甘めの「木の芽田楽」と塩梅よく味つけされた大根の葉をまぜる「なめし」は創業から受け継がれる組み合わせだ。
この味を求めて地元の方はもちろん、遠方から訪れる方も多い。130年変わらない伝承技術で焼き上げる「木の芽田楽」はその柔らかい触感が他店とは決定的に違う。まず豆腐は水切りをしないで、竹の二本串で焼く。柔らかいためこれを高温の備長炭の上で焼くのには高い技術がいる。味噌が香る柔らかい田楽は、味わい深く食欲をそそる。使用する豆腐は岡崎の豆腐屋さんで特別に作っていただいているそうだ。
また「なめし」に使う大根の葉も三河の農家に特別に葉っぱのみを使うだけの大根を生産してもらっている。冬に葉の収穫を行い、時間をかけて手作業で加工している。長年変わらない技術と製法が老舗の逸品を守っている。
加えて定食のお吸物のファンも多い。一番出汁に塩と白醤油のみで味付けをした汁に、ふわっとしたかしわのしんじょう、絶妙な一品である。お吸い物のみを追加で頼む人もいるという。
「なめし田楽定食」は自然な食材のみを使用し、シンプルだが旨味が際立つ、身体にも優しいベストな料理であると言えるだろう。まだ訪れていない方は足を運んで自分の口で味わっていただきたい。
他にも地産地消を心掛け、地元三河産の魚や野菜が使用されている予約制の懐石料理は、季節やお客様に合わせて提供される。リピーターも多く、親子三代で食べに来られる方もいるほど秀逸な料理だ。
八丁味噌を使った岡崎食文化の代表格ともいえる八千代本店の「なめし田楽」。その「変わらない味と伝承技術」こそが、長年愛されるこの店の最大の魅力と言えるだろう。
※この記事は2022年07月01日時点の情報を元にしています。現在とは内容が異なる場合がございます。